Muchos Grasias.
往路約40時間、復路32時間の日本の真裏にある国、パラグアイへの旅、無事に帰国することができました。
そこはお世辞抜きで素晴らしい国でした。
至る所に幹を伸ばすヤシの木が、まるで南国のリゾート地のようであり、民家の赤瓦が沖縄のそれを彷彿とさせ、暖かい気候と眩しい太陽が気分を高揚させてくれました。
明るいと言っても典型的なラテン系の明るさでなく(※それを悪いと言っている訳ではございません)こちらに呼吸を合わせてくれるような、心地よいテンポ感を持った明るさです。
そして、何より人が明るく、温かい。
みんな満開の笑顔と、両手いっぱいのハグで僕らを出迎えてくれました。
現地に到着して初めて知ったのですが、ここパラグアイはマテ茶の原産国で、現地ではグアンパという独自の容器とコップとボンビージャと呼ばれる先端にフィルターのついた金属のストローを使って水出しで飲むのが主流だそうです。
みんな外出時に持ち歩いていて、愛らしい。私たちも移動のバスの最中などにもてなしを受けました。
これがとっても美味しい!ビタミンも豊富で飲むサラダとも呼ばれているそうです。
金属でできたボンビージャがヒンヤリとしていてとっても口に心地よい。
茶葉とボンビージャをスーパーで購入してきたので健康に良さそうなので日本でも日常的に飲んでみたいと思います。
現在5000人以上の日系人がパラグアイで生活をしている事を皆さんはご存知でしたでしょうか?
僕は恥ずかしながら今回のお話が決まるまで知りませんでした。
昨年訪れたサンパウロでも同じ事を感じましたが、日本から約18000km離れた地球の反対側でも、
日本人が現地の社会、文化に溶け込みながら生活を営んでいる。
これは実際現地に行ってみると、言葉にする以上の感慨深さがあります。
80年前、海の遥か彼方に新天地を求めて約二ヶ月の船旅に出航した人たちは、どんな思いで水平線を眺めていたのでしょうか。
第一世の方々がジャングルの原生林を一本一本切り倒して開拓していった移住地には今も二世、三世の方々が幸せに暮らして居るそうです。
今回の旅でも二世、三世の方々のお話を直接聞くチャンスに恵まれましたが、第一世が築き上げてきた現地民との信頼関係のお陰で、日本人は確固たるステータスがあり、みんなから尊敬されているのだそうです。
今回の日本祭りも第一世への感謝の意、慰霊の意味が込められていると聞き、自分が日本人である事を誇らしく思ったと同時に、翌日に控えたステージに向けて、一番大切な事を聞いたと思いました。
日本祭りは主催者の皆さまも驚く動員を記録し、1万5千人以上の人々が集まりました。
僕は今回の為に覚えたパラグアイ国歌をKAO=Sステージのオープニングで独奏させて頂きました。
なんせ三味線一本なので、演奏してみるまで現地の人々にパラグアイ国歌だとわかってもらえるか不安がありましたが、メロディーがわかった途端に地鳴りのような手拍子と合唱が始まったその時は、言葉にならない感動がありました。
我々のライブは大歓声で迎えて頂き、アンコールの「流星群」までオーディエンスの熱狂が冷める事がありませんでした。
フィナーレの花火は、息をのむほど感動的でした。
今回、KAO=Sのお手伝いをしてくれた日系人の青年たちがいるのですが、彼らは第3世にあたります。
皆さんとっても優秀で、僕らの現地に着いてから空港を離れるまでの全てを献身的にサポートしてくださり、今回の成功は西島様を始めとする主催の皆様、そして彼ら無しには語れません。
その中でも特に印象に残っている一人の青年がいます。ナオト君と言います。
彼のお爺ちゃんは広島で原爆の被災にあい、絶望の中、パラグアイを新天地に選んで船に乗り込んだそうです。
そこで同じく広島から船に乗り込んだ1人の女性に出逢い、2人は船の上で恋に落ち、その青年は船の上でプロポーズをしたそうです。
それが彼のお婆ちゃんお婆ちゃんて訳です。なんというドラマなんでしょう。
この話を聞けた事だけでもパラグアイに来れて良かった、と本気でそう思いました。
実はこの話にはまだ続きがあり、彼のお爺ちゃんは移住地でその頃まだ誰もやっていなかった畜産で大成功を収め、今ではパラグアイ最大の養鶏場を営んでいるそうです。
そのお爺ちゃんの卵がこちら。どのスーパーにいっても置いてありました。
ナオト君とおじいちゃんの卵(ホテル近くのスーパーにて) 誇らしげですね^^
地球に生を受けた人口の数だけ、それぞれにストーリーがあってドラマがあるのですね。
次にパラグアイを訪れた時には日系人の方々が暮らす東西南北に分布する移住地にも是非、メンバーで足を運んでみたいと思います。
三味線を始めた当初は、まさか自分が国と国の交流に関われるなんて夢にも思っていませんでした。
音楽は神秘ですね。これからも音楽で自分にできる事を一生懸命追い求めて、天命を果たしたいと思います。
Muchos Gracias!
寂空
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